尾根にあるその家は、さらなる進化の時を待っています。物件に着くなり、まず敷地を案内をしてくれたオーナー。「大きな敷地」という前情報のみにぎっていましたが、ここまでとは。その一言に収まりきらない、私たちを楽しませてくれる仕掛けがたくさん散らばっていました。
JR「田浦」駅と並行に走る国道16号線から枝分かれした道。「のの字坂」の名の通りのカーブ続きの道を進み、坂道を上りきった高台に今回の物件はあります。周辺の建物とは少し距離をとってたっており、目の前に広がる緑が自邸の敷地と考えると、それだけでワクワクしてきました。このスケールは文章ではなかなか伝えるのが難しく、ぜひ現地でご確認いただきたいです。
門を入って、庭からふぅーっとひと息。対面の尾根の緑をほぼ180度を見渡すことができます。あらためて50年以上も前からこの場所にあるって、すごい。
建物脇をすり抜けていくと、物干し場だけではない展望デッキが現れます。そこからお手製ハシゴを降りて北側の敷地へ。一部は平坦になっているので、家庭菜園として有効活用が出来てしまいます。
西にはかつての庭池の跡。ちょうど椿の花が咲いていましたが、室内からも見える中庭的な位置付けのこの場所は、植栽にとことんこだわって、この家のオアシスになったらいいな、と。奥(南)には、さらに下へと進む階段。敷地内でこれほどまでのアップダウンを経験するとは想定外で、ちょっとしたアドベンチャーに参加している気分に。
敷地内の植栽も様々で、柑橘の木が大きな実をつけて、春には桜が咲くそう。おのずと管理は必須ですが、家にいる時間が長くなりつつある昨今だからこそ、身近に四季のうつろいを感じられるのはとてもうれしく、この場所の楽しみ方を考えるにはしばらく飽きがこなさそうです。敷地の全貌を把握するのには、私もまだまだここへ通う必要がありそうです。
建物は古いながらもその風格は衰えず、現代に置き換えても単に古いものではないところが、この物件のすごさかもしれません。和室の美しさや玄関まわり、建具など、どこか奥ゆかしさを感じさせる佇まいはポイントのひとつ。
ある程度の改修も視野に入れつつ、自分でチャレンジするも良し、仲間を集めて思い切って改装してみるも良し、これから先もまだまだ進化を続けていくのだろうな、と。
田浦エリアは、私たち鎌倉R不動産にとってもまだまだ未開の地。駅を下りた瞬間から感じていた出会いの予感はまさに的中。この場所に建っていることが必然であるかのような妙に説得力のある佇まいが面白く、どんな風に姿を変えるのか、この家の最終形がどこにあるのか、楽しみはふくらみ続けているのです。 |