鎌倉山ロータリーを見下ろす、高台の物件です。少し離れた物件の駐車場から道路の終端まで歩き、右側に物件が見えてきます。そこから、まるで山を駆け下りたくなるような階段を数段下り、ほどなくして緑の小路が現れますが、全体像がわからないため恐る恐る進んでいきます。
タケノコが良くとれるという敷地は、他にも大きな緑や季節に合わせてきれいに草花が咲き誇ります。夏場になれば、まるで緑のトンネルの様な敷地内の小路を今度は少し上り、やっと物件の2階部分が見えてきます。
ガルバリウム鋼板で仕上げられた外壁は、主張することなく周囲の景観に対して息をひそめている様です。一方建物に近づけば、1階部分は木の板張りで溶け込みながらも、この場所に建つ建物の主張部分です。現在築8年を経過し、良い経年を感じさせます。
玄関前のポーチは伸びやかで、先ほどの緑に変わって来訪者を包んでくれるよう。木製の玄関も違和感のない部材でした。玄関ホールに入ってもまだ外にいるかのように窓ガラスが大きく、久々にこんなに明るい玄関まわりと出会いました。
まず1階は南側に個室は4つあり、私が現地に行った2月はもっと暗いイメージを想像していましたが、周囲の緑が落葉し、暖かい日差しを室内に届けていました。通常LDKは南側に設けがちですが、この物件の魅力の一つでもある北側の眺望を活かすための配置だと思います。屋根が片流れで、北から南に向かって高くなっており、設計者は山の形の土地形状に合わせて屋根の流れを考えたように伝わってきました。
2階も1階と似たような間取ですが、昔はシェアハウスを営んでいたこともあり、個室が多いです。2階はとにかくオープンで、仕切りをしなければかなりの大空間を感じる事が出来ます。
どこか懐かしさを感じる物件でしたが、その理由は構造にもあるかもしれません。古民家によくあるように上から見ると、田の字型の様な構造でシンプル。各空間の仕切りは、木製の建具で仕切る仕様になっています。敷居は床に彫り込まれていたりと、そんな視点で見ていくと、天井は松、あまり既製品や集成材は使用せず、無垢材や素材感のあるものを多用していました。
外観には木を使用しているものの、ガルバリウムという素材から、すっきりシンプルな印象でした。しかし、室内はいわゆる和風というか、日本的に感じます。その印象をさらに引き立てているのが、2階の西側洋室や階段ホールから見える富士山と木々が、北斎の浮世絵、富嶽三十六景に出てきそうな景色で、そこからの景色にしばし圧倒されました。
現地を訪れた時間は午前でしたが、夕方や夜もまた違った山々の形や景色、表情を見せてくれそうです。
1フロアで4から5人家族は収まり、さらに大型の物件をお探しの方はいかがでしょうか。木をふんだんに使用している家なので、定期的に手を入れ続ければ、どんどん経年美化する素敵な物件だと思います。
また、玄関まわりの独立性をもう少し高めれば、1階を貸し出すなど、賃貸住宅としても成り立ちそうで、楽しさが増える物件ではないでしょうか。
*本物件の駐車場は敷地から離れた場所にあります。駐車場は停められる車種に制限があります。(駐車場の幅は2,400mm) *物件は車の進入ができません。 *第一種低層住居専用地域につき事業用途は50㎡までに限られます。 *写真内の家具、家電等は撤去予定です。 *本物件は、以前「フリースタイル山岳家族」というタイトルで募集していた物件です。 |