賃料：

15万円

面積：

94㎡

天気のよい日、江ノ電に揺られて小さな駅で降り立つ。味のある中華料理屋、自然と会話がうまれそうなコーヒースタンド、昔ながらの親しみやすい肉屋を横目に、観光客が向かう海とは反対へ進みます。

ここは稲村ガ崎。山と海に囲まれ、鎌倉の自然をそばで感じられる町。ゆるやかな坂をのんびり優雅に歩くと、聞こえてくるのは鳥のさえずりや小川のせせらぎ、木や葉っぱが風にそよぐ声。散歩をする園児たちとすれ違い、時折そばを車が通る。たった7分間の道のりが、贅沢な時間に感じられました。

朱色の瓦屋根が目印の家を見つけたら、道路沿いの門扉を開き小路を進みます。敷地内に隣接する2棟の建物の奥にある「A棟」が今回ご紹介する物件です。

築43年。白い外壁はところどころ色を変え、その佇まいから生きてきた年月を感じます。ひょいと飛び出た玄関ポーチ。夜に灯るやさしい光を想像すると、なんだかあったかい。

玄関に入ると外の音はすっとおさまり、扉にはめ込まれたガラスからほのかな光が差し込みます。初めて来たのに何故か懐かしくて、ただいまと言いたくなりました。

小上がりの先にはリビングダイニングへと続くガラス戸。帰ってきて扉の向こうに灯りと家族の気配を感じられたら、きっとホッとするんだろうな。奥には裏庭のみどりも覗けて、なんだか得をした気分になります。

そうそう。この家は庭も魅力的なのです。建物の周囲をぐるっと回れば植栽がたっぷりと。今はみどりが生い茂っていますが、手を入れればより素敵になる気配。テーブルとチェアを置いても余裕のありそうなスペースです。立水栓もついているから、植物への水やりも楽だし、遊び道具を庭で洗って干したり、夏には流しそうめんなんかもしたい。

そしてこの家、とにかく窓が多い。一旦すべての窓を開放してみます。雨戸をあけた途端、待ってましたとばかりにわっと陽が差し込みます。11月後半でも十分にあたたかくて、床に寝そべりたくなる気持ちよさ。窓からは山々の紅葉が見え、空気は澄んでいます。ベランダには光を遮るものがなくて、ここで干した洗濯物はきっと太陽のいい匂いがするでしょう。

94平米ですが、それ以上に広さを感じる間取りで、2～3人ならゆったり暮らせるサイズ感。和室を主寝室にして、障子から差し込む光で起きたい。朝は庭の緑を眺めながらコーヒーを。階段途中の納戸にも窓があって、物置にするにはもったいない。小さな書斎にしたくなります。

昭和のレトロ感が漂いながらも古臭くはない。むしろ味わいがあって落ち着く感じがちょうど良い。ところどころ使い込まれていて貫禄のある家なので、多少の傷や色褪せも愛してくれる方にぜひ住んでいただきたい。

稲村ガ崎という、山々のはざまで静かに長く生きてきた家。季節ごとに表情を変える緑と、陽の光とともに暮らせば、きっとこの場所に根付きたくなります。