マンションのインテリアや簡単な改装計画を立てようとするときに、ポイントになるのは窓と柱(梁)がどんな感じか。この点がとっても大切だと私は思っています。
昭和40年代の僕たちはヴィンテージマンションと呼んでいるマンションがあります。古くても味わいのある雰囲気は、窓と柱の関係が秀逸であることが特徴です。
マンションによっては、窓枠がオリジナルの建具である場合もあり、当時の施工会社もその建物に誇りをもって建築されていたのではないかと思うのです。
それから90年代に入り、窓枠は既製品の組み合わせとなり、柱と窓の関係も建設コストと施工のしやすさを求める時代に突入していきます。もちろん安定した供給ができたという意味では評価はできるのでしょうが、どうしても産業の都合に生活を合わせるような窮屈さを感じてしまうのです。
また、北欧家具やデザイナーによるプロダクトが似合うのも、ヴィンテージマンションだと思っています。
そして今回の物件は1992年の建物、これまでの話で言うところの、個人的には残念に感じてしまう年代のマンションなのですが、それを素敵に裏切ってくれるのがこのマンションなのです。
一般に窓は引き違いの窓が多用されるのですが、このマンションでは、FIX(はめ殺し)の窓に引き違いの窓を組み合わせたり、壁面にくぼみを作るようにしたりして、四角い室内を際立たせています。
こういう工夫がされているマンションは私が知る限りではもう少し後ろの時代。そう、2000年代のマンションでは技術開発により、マンションの施工(工期)やコストに大きな影響を出さずに面白いことにチャレンジできるようになってきたのです。
鎌倉エリアでは、その先駆けとなったマンションが、このメゾン二階堂なのです。現在の築浅と言われるマンションで、なおかつ100平米を超える大型の区画のマンションは、このような壁面がしっかりと四角いマンションが多いと思います。
そんなマンションだけあって、オーナーさんもそれなりの方が多い印象です。何度かこのマンションの売り情報を確認してきましたが、どの区画も素敵なインテリアの計画をされていて、そのまま次の住み手のお手本になるような空間に出会ってきました。
今回はめずらしく室内は空室です。しかしながら、水まわりの改修工事内容などを見ると、素敵なオーナーさんであったことを想像してしまいます。特に台所の計画は大きすぎず、コクピットのような空間に必要な食洗機やレンジ(Miele(ミーレ)製)そして造作された収納が立体的におさまっています。
お手本にしたいのは、各居室。壁面がしっかりと四角い空間では、アクセントウォールと呼ばれる一面だけ違う色や柄物のクロスを張ることで空間を一層魅力的に見せてくれます。また1階部分の窓からは鎌倉旧市街地の緑あふれる雰囲気が楽しめます。
こうした先人の知恵を借りつつ、次なる改修工事が楽しみで仕方がありません。ただし、近隣の一部は古いお屋敷系の建物が取り壊され、現在は分割されて新築建物が計画される場所もあります。このため、眺望は今後変化する可能性がありす。 |