2010.11.24

 

APARTMENT

藤井健之
 

以前からこんなアパートというか集合住宅があるといいなと思っていた。最近よくシェアハウスという単語を耳にするようになって、そうだったのか、それはシェアハウスだったのかと思いつつもどこか似ているようで根本的に違うような気もした。

どんなものかと言うと、一階が共有の土間打ちのキッチンとダイニングとリビングを兼ねたようなスペース、トイレとかお風呂とかもあってよし。二階が居室スペース。もちろん平屋で構成することもできるけどそうするとかなり贅沢なアパートになる。
こう書くと、それが普通のシェアハウスか60年代以前生まれ流な表現だと下宿だよ、といわれるかもしれない。

ただ現在主流の共同体的、仲良し的、集団生活が大丈夫でルールがきちんと守れる素敵な人たちが集まって成立するようなスタイル(すみません、勝手なイメージです!)にはなんとなく違和感を感じている。もともと内も外もない人間関係の密度が濃い下宿生活が嫌いで一人暮らしを指向した経験者は、ワンルームの気兼ねなさ、開放感、緊張感のない幸せは分かると思う。

大切なことはメリハリなんだと思う。内と外との。他人とのコミュニケーションを遮断したとしてもひょっとしたら生きていけるかもしれない現代ニッポン、特に都会では。極端から極端もおもしろいけど、まずはゆるやかに選択できる外との関係を作っていくことが必要なんだと思う。そしてそれは、内をしっかり持ってはじめてできることなんだろう、と思う。

そこで僕の構想のポイントだけど、居室スペースには玄関があるということ、共有の場から内に入る際に靴を脱いで(脱がなくてもいいけど、気持ちの問題)内に入る。そして共有のキッチンとかは基本土足で使う、つまり外だということ。
ここは活用範囲が広くて場合によっては外からの客もここまでは気兼ねなく入れたりして、近所のお爺ちゃん、お婆ちゃんとか子供たちとか普通にそこにいたり、ときどきここで小さなイベントやフリマみたいなものが自然に開催されていたりするかもしれない。外と内の境界にある「あいまいな場所」だ。強制的にがんばってコミュニケーションを取る必要はないけど、そんな機会はいつもある、調子のいいときに輪に入ればいい。そして疲れたり厭な気分になりそうだったらすぐに自分の内にこもることができる、そんなアパートなのだ。

でもやっぱりそれがシェアハウスなのかな。違いは微妙だ、やっぱり。でも僕たちはいろいろな感情で動いていて、合理的に規則に従って、空気を読んで、楽しいおしゃべりと善意をいつも要求されて生活するのは簡単ではない。あいまいさを許容できる世の中、それが無理ならそんな空間を僕は欲しい、シェアハウスと呼んでも呼ばなくても。

このブログについて
 

湘南病にすっかり罹ってしまった私フジイは、この地で不動産屋「稲村ガ崎三丁目不動産株式会社(現 鎌倉R不動産株式会社)」を開業。
そして2008年12月15日稲村ヶ崎R不動産(現 鎌倉R不動産)を公開しました。なぜ鎌倉・湘南なのか、僕の体験を通してその理由をお伝えしてまいります。
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藤井健之

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