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残していきたい風景 |
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これまで色んな建物を見てきましたが、やっぱり僕はこういう時を重ねたものに惹かれてしまうんだよなぁ、と改めて思わせてくれる物件でした。 ここは葉山町下山口に広がる住宅街の山際(敷地は山林も含んでいます)。徒歩6分ほどで海岸へ出ることもできるし、敷地からは葉山御用邸のある一色エリアの街並みや遠く相模湾に江ノ島、そして富士山も望めるという立地です。 約4200平米の広大な敷地に母屋と離れの2棟の建物が建っています。物件の全てをここで描ききることはほぼ不可能なので、全貌を把握するには現地に何度か通うことをおすすめします。母屋は築年不詳ですが、当時の面影を残しつつ洋のテイストも取り入れた大正ロマンを感じる建物、対照的に、離れは現代的な設備を完備した広めの一般的な平屋です。 文化財に登録されてもおかしくないくらい見事な造りの母屋。和の玄関をくぐって板張りの廊下を進んでいくと天井の高い洋間が迎えてくれます。ヘリンボーンのフローリングや重厚なマントルピース、背の高い三連の上げ下げ窓という、いかにもな洋間が唐突に出てくるのですが、不思議と違和感なく馴染んでいます。当時はここで要人との会議や社交パーティなどが催されていたのでしょうか。ボトルのワインよりもヴィンテージデキャンタの葡萄酒がしっくりとくる空間でした。 さらに進むと縁側に囲まれた二間の和室が現れるのですが、ここが僕の思う物件のハイライトです。華美な装飾はありませんが、時を重ねた建具や化粧材ならではの美しさ、職人さんの技が見える細部の意匠や納まりに、つい見惚れてしまいた。空気のゆらめきを閉じ込めたような吹き板ガラスに、庭の緑が反射して静謐な雰囲気が漂っています。 海方向となる西側に突き出した縁側だけ広縁になっているのは、食事したりくつろいだりと縁側の用途だけでなく和室の延長として設計されたのでしょうか。あえて外側ではなく和室側を向いて腰掛け、当時の様子を想像しながらぼーっと見入っていました。縁側の柱に設置されたランプが和洋折衷の良いアクセントになっています。 母屋だけで約270平米となかなかに広い家ですが2階はわずか1部屋のみ。天守閣のてっぺんのような特別感のある場所からは母屋の入り組んだ造りが見てとれます。緑がもう少しスッキリすると葉山の町並みもばぁーっと開けるのでしょうが、枝葉の隙間からチラリと覗くこの感じもなかなか悪くありません。 風呂場やトイレの造りは当時に近い状態なのではと推測します。使い勝手を考えれば離れのものを使った方が良いのかもしれません。でも、たまにはちょこんとした低めの小便器で用を足したり、浴槽の中までタイル張りの広い風呂場でお湯に浸かれば、自然と幸福度が上がりそうです。 現在は法人が所有し保養所として使用されていて、月に一度、業者による建物全体の清掃が入り室内は綺麗な状態が保たれています。時代とともにアップデートしているものの、ところどころに補修が必要な箇所も見受けられます。もちろん高気密高断熱という言葉は母屋には見当たりません。快適な暮らしは離れに頼るとして、母屋は客人をもてなす社交場、と割り切ってもいいかもしれません。予算のことを考えずに妄想するなら、現在は完全に分かれている母屋と離れを合体させてしまう、というのもありだと思います。 注意点として、敷地入り口の門柱の間隔が約2,400mmのため車幅のある車は侵入が難しいということ、敷地内には駐車場がないため建物までのスロープに駐車する必要があり、切り返しのスペースがないので道路までバックで戻る必要があること、あらかじめご了承ください。 余談ですが、町並みを挟んで北側の山際に遠藤新設計の「加地邸(かちてい)」があり、物件からも望むことができます。一度訪れたことがありますが、日本に現存する数少ないプレーリースタイルの素晴らしい洋館です。テイストや規模は違えど共通して言えるのは、門をくぐった時の高揚感、その先に待っている建物、庭、そこからの眺望が僕の記憶に残る風景となったこと。 どんなかたちであれ、この建物を残していきたいと思ってくださる方にお届けできれば。 ※管理会社による鍵の開閉があるため内見の日程調整にお時間をいただく場合がございます。 |
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1階和室|時を重ねた建具や化粧材ならではの美しさ、職人さんの技が見える細部の意匠や納まりに、つい見惚れてしまいた |
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母屋の外観|威風堂々とした出立ち。こういう建物に惹かれてしまいます |
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2階和室|ここは天守閣のてっぺんのような特別感のある場所です |
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洋室|当時はここで要人との会議や社交パーティなどが催されていたのでしょうか |
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価格 | 2億8,000万円(税込) | 建物面積 | 235.96㎡ |
管理費 | なし | 修繕積立金 | なし |
所在地 | 葉山町下山口 | ||
交通 | JR横須賀線「逗子」駅 バス15分 「葉山公園前」バス停 徒歩7分 | ||
建物構造 | 木造 | 所在階 | |
築年 | 不詳年 | 土地権利 | 所有権 |
敷地面積 | 4,185.98㎡ | 都市計画 | 市街化区域 |
用途地域 | 第一種低層住居専用地域 | 建蔽率/容積率 | 40%/80% |
その他費用 | 取引態様 | 媒介 | |
設備 | 公営水道/個別浄化槽/個別プロパンガス | ||
備考 | 地目:宅地/山林/現況:空家/引渡時期:相談 契約後6ヶ月以降/【敷地】:宅地部分1769.98平米(市街化区域)|山林部分2416平米(市街化調整区域)/【建物】:母屋部分274.62平米(登記簿235.96平米)|離れ部分139.61平米(登記簿は母屋の付属建物|81.42平米)/敷地測量済(一部境界未確定)/売主は建物の校正登記は行わず、現況での引渡/前面道路:法第42条2項道路/町道674号線認定幅員1.5m(最小)から4.9m(最大)の為、4m未満の箇所は建物建築時セットバック要/法22条地域/敷地の一部に調整区域含む/第4種風致地区/土砂災害警戒区域(一部:特別警戒区域に該当)/宅地造成等規制法/近郊緑地保全地域/葉山町まちづくり条例/離れ部分:2020年3月大規模改修工事済/内見方法:事前予約 | ||
情報修正日時 | 2025年6月9日 | 情報更新予定日 | 2025年9月28日 |
